中国の学者がシロクマの毛のバイオニック断熱材を準備

浙江大学のチームは、シロクマの毛の構造を模倣して、エアロゲルをカプセル化した超暖かい人工繊維を作成した。この素材は暖かく、軽量でありながら耐久性にも優れています。 2023年12月22日、本成果に関する論文が国際誌「サイエンス」に掲載されました。

この成果は、浙江大学化学工学生物工学部のボー・ハオ教授と高分子科学工学部のガオ・ウェイウェイ准教授のチームによって完成した。

バイハオ氏によると、ホッキョクグマは摂氏マイナス40度の環境に適応するために、非常に暖かい毛に頼っているという。彼らは、シロクマの毛が大量の「静止」空気を内包する中空構造であり、それぞれの毛が殻を持っていることを発見しました。電子顕微鏡で観察すると、この殻の厚さは約 20 ミクロンで、毛髪の直径のほぼ 4 分の 1 を占めます。

この発見に触発されて、研究チームは6年近くを費やして、新しいタイプの「コアシェル」構造繊維を準備しました。繊維の中心はポリマーエアロゲルであり、直径約10～30ミクロンの長い細孔が点在しています。空気をためる「倉庫」のように、小さな穴が同じ方向に並んでいます。繊維の表面にTPU（熱可塑性ポリウレタンゴム）のシェルがあり、エアロゲルを内側に包み込んでいます。

「『コア』は超暖かさを実現する役割を担っています。繊維内部の小さな穴の方向とサイズを制御することで、赤外線を『ロック』して熱損失を防ぐことが期待されます。『シェル』は強度と耐久性を担う役割を担っています」耐久性があり、繊維に優れた機械的サポートを提供し、耐摩耗性、耐伸縮性があり、洗濯可能です」と Bohao 氏は述べています。

研究者らは断熱効果を検証するため、初期温度が同じダウンジャケット、ウールセーター、綿セーター、「シロクマセーター」をマイナス20度の恒温冷蔵庫で保温効果を検証した。衣服の表面温度の上昇が少ないほど、人体からの熱の損失が少なくなり、衣服の保温性能が向上します。

研究者らは、数分間のテスト後、綿のセーターの表面温度が摂氏10.8度に上昇し、ダウンジャケットの表面温度が摂氏3.8度に上昇したことを発見した。ウールのセーターに近く、ダウンジャケットの3分の1から5分の1の厚さしかない「シロクマセーター」の表面温度は3.5℃までしか上がらない。

「シロクマの毛を観察することで、自然がどのようにして『核』と『殻』がそれぞれの役割を果たしているのかを知ることができます。バイオニクス研究の本質は、問題の解決方法を自然から学ぶことです。」ボハオ氏は、自然の秘密を明らかにすることで、人々の生活を改善する新しい知識を発見し、新しい材料を作成することがバイオニクス研究の使命であり、それはチームが長年にわたって続けてきた追求でもあると述べた。